vol.17
スーパーマーケットはみんなにとって
どんな場所なのか調査しました。
日常の買い物について感じていることやスーパーマーケットに望むことを聞いてみました。
日用品を購入するだけの場所ではない、これからのスーパーとは?みんなの声を紹介します。
Q. 買い物をするときの
困りごとは何ですか?
6割以上の人は
「買いすぎ」・
「ごみが多い」と
感じている結果に!
買い物をするときの意識や行動について感じていることを聞いてみました。特にないと回答した人は約4割となりました。6割以上の人はごみを削減したくても商品包装などが多くて自分では減らせないと感じていたり、食べきれずに食品を廃棄してしまうなどの問題を感じていることが分かりました。日本では少子高齢化、小売店の廃業により高齢者などが食料品購入が困難になることが社会問題とされています。今回の調査は、20~60代を対象に実施していますが、「身体的・精神的理由」、「交通手段の問題」で買い物に行けないことがあると回答した人はそれぞれ6%以上となりました。
Q. 評価するスーパーマーケットの
取組は何ですか?
資源ごみの回収やリサイクルが
高く評価されている結果に!
スーパーマーケットの取り組みについて良いと思うものを聞きました。
様々なサービスや取り組みがある中、資源ごみの回収やリサイクルが高く評価されていることが分かりました。4位の地産地消は、消費者にとっては新鮮で安価な野菜を購入できるなどのメリットがあるだけでなく、食料自給率の向上や、流通による環境負荷軽減など地球環境にも良いとされているそうです。混雑緩和につながるレジ精算の自動化はスーパー利用者の負担を軽減するため半数以上が良いと思うと回答しました。全体的に、消費者自身のメリットよりも社会や環境に良いとされている取り組みが評価される結果となりました。
普段スーパーマーケットで
買い物をするときに
気になることや要望など、
みんなの声を紹介します!
(自由回答)
衛生への対応について
買い物かごの持ち手やカートの手が触れる部分の消毒が徹底されていない店舗が増えてきたように思える。(男性60代)
換気をしている場合は、アナウンスして教えてほしい。たまに人が多いときは入るのに躊躇するので。
(女性20代)
セルフレジのところにも消毒を置いてほしい。(女性20代)
混雑緩和・キャッシュレスへの対応について
キャッシュレス決済の導入、セルフレジの有効活用をすすめてほしい。
(男性30代)
レジの混雑をなんとかしてほしい。(女性30代)
キャッシュレスの支払い方法を多用にしてほしい。(男性40代)
環境への対応について
プラスティックの容器が多すぎると思う。紙や木でできている容器を使って欲しい。(女性60代)
従食品トレーを少しでも減らす努力をしてほしい。(女性50代)
肉や魚や総菜などのトレーなどのプラスチックごみが大量に出ることを解消してほしい。(女性50代)
Q. コンビニやスーパーマーケット
などが、社会問題、
環境問題に
取り組んでいることはあなたの
日常的な
消費行動において、
どの程度重要になると思いますか?
環境問題への取組や
各地域が抱える課題解決に
積極的な姿勢を示すことが
必要といえる結果に!
2015年9月、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が国連で採択され、企業においても環境・社会・経済と幅広い課題に取り組むことが求められるようになりました。今回の調査では、「企業が社会や環境問題に取り組んでいることが商品やサービスの購入時に重要である」と回答した人は約7割という結果になりました。企業の取り組みだけではなく、多くの消費者の価値観も持続可能性につながっていることが把握できました。このように価値観が変化している消費者のニーズを満たすためには、これまでの商品やサービスだけで対応することは困難な時代なのかもしれません。環境問題への取組や各地域が抱える課題解決に積極的な姿勢を示すことが必要といえる結果になりました。
アンケート調査概要
- ● 調査地域:全国
- ● 調査対象:男女 20〜60代
- ● 調査期間:
2020年12月17日(木)〜12月18日(金) - ● 有効回答数:400 サンプル
スーパーマーケット店舗内の
危険と対策を専門家から学ぶ!
生活者は、企業が社会で
貢献していることについての
関心が高い
「企業が社会で貢献していること」について生活者の関心が高いことが分かりました。このような傾向にどのように適応していくか?日本総合研究所 橋爪麻紀子マネージャーからアドバイスを頂きました!
Q. どのような背景で
環境や社会への
意識が高まったのでしょうか?
新型コロナウイルスの
感染拡大で様々な
問題が浮き彫りに!
2020年から拡がった新型コロナウイルスの影響は1年以上たった今もその余波が続いています。長期の移動制限は私たちの消費行動の多くをオンラインへと変えました。変化はそれだけではありません。コロナ下、企業の環境や社会への取組みに人々の関心が高まったのです。例えば、コロナ対策を支援する企業の製品の購入や、窮地に陥った生産者の買い支えといった行動を起こした方もいたでしょう。この背景にはコロナで浮き彫りになった格差問題や、感染症と地球温暖化の問題を通じ、環境や社会への個人の意識が高まっていることがあげられます。
このように、個人の行動や価値観が環境や社会へ配慮したサステナブルな方向へと変化する中、これまで最終消費者との接点を築いてきた小売業に必要な取組みとは何でしょうか。これから取組みを検討される小売業の方がどのように始められるか、仕入れ、店舗運営、販売の3つの側面から取組み例をあげてみたいと思います。
Q. 小売店はどのように取り組んで
いけばよいでしょうか?
仕入れ、店舗運営、販売の
3つの側面から考える取組
まず、「仕入れ」の取組みです。仕入れはその店舗の環境や社会への取組み姿勢を消費者へ示す最も分かりやすい手段です。近年では、消費者の志向に合わせフェアトレード、MSC、FSCなど様々な認証付き商品を仕入れる小売店も増えています。前述のアンケートにもあった地産地消のような地域柄に応じた仕入れも地域社会に配慮した取組みです。
次に、「店舗運営」の取組みです。よく見過ごされがちなのは店舗を支える従業員への配慮でしょう。労働環境・時間の改善といった取組みもあれば、コロナ下、現場の従業員の労いに特別ボーナスを支給した小売業の例もあります。
最後に、「販売時」の取組みです。3R(リユース(再利用)、リデュース(削減)、リサイクル(再生))に加え、最近では(リフューズ(断る))を加えた4Rとも言います。店舗がお客様に過剰包装やレジ袋利用を断ることを促し、一緒に環境意識を高めてもらうという手段です。店舗ロゴが入ったエコバッグの利用は、環境に優しいだけでなく店舗の販促にもつながります。
アンケート結果では、小売業の環境や社会における取組みが、今後の消費者の行動に影響を与えていく傾向が見られます。政府が2050年のカーボンニュートラルの目標を示し、SDGsやESG投資が個人単位で主流化していく中、消費者の環境や社会への関心は一層強くなるでしょう。こうした社会、消費者の変化を見据え、まずは自社が今できるところから始めるのが大切です。
アドバイザープロフィール
NTTデータ、国際協力機構を経て、2012年より現職。企業のESG側面の評価を実施する傍ら、サステナブルファイナンス商品の設計・運用に従事。近年では、社会的インパクト創出に資する地域創生やサステナビリティ分野の人材育成に注力。書籍『「わたし」のための金融リテラシー』『行職員のための 地域金融×SDGs入門』『ビジネスパーソンのためのSDGsの教科書』『投資家と企業のためのESG読本』(いずれも共著)ほか。