ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.20 食の衛生管理に関しての意識調査を実施しました。

アカデミーリサーチ

vol.20

食の衛生管理に関しての
意識調査を実施しました。

食品を安全に提供するためのHACCP(ハサップ)という管理手法が2021年6月から完全義務化されました。
新型コロナウイルスという予期せぬ影響を経た現在、HACCPの認知度などを調査しました。

HACCP義務化後の認知度とイメージ 食の衛生管理に関する調査
まずは、HACCPを知っているか聞いてみました。

Q. HACCPを知っていますか?

HACCPの認知度|HACCPの認知度(役職別)

HACCPの認知度、
6割以上は「知らない」

「有職者(全国・18~39歳・男女・アルバイトを含む)を対象にHACCPという言葉の認知度を調査したところ、知らないと回答した割合は全体で64.3%となりました。しかし、「責任者」や「管理監督者」の立場に該当する人の約9割は認知しており、6割以上が人に説明できる程の高いレベルで理解していることが分かりました。

次に、HACCPが義務化されたことを知っているか聞いてみました。

Q. HACCPが義務化されたことを
知っていますか?

HACCP 義務化の認知度|HACCP 義務化の認知度(役職別)

HACCP義務化、責任者の
9割は「知っている」

HACCPを知っていると回答した7,570人を対象に、食品衛生法により2021年6月1日から完全義務化されたことについて認知度を調査しました。
HACCPを知っていると回答した人のうち、義務化されたことを知っていると回答した人は35.7%となりました。HACCPの認知度同様、「責任者」においては9割が義務化について知っていましたが、「非責任者」は33.2%に止まりました。HACCP義務化の情報をどこで得たかという調査結果からは、責任者はマスコミだけではなく業務上関わりのある様々なところから情報を得る機会があることが分かりました。

HACCPに対してのイメージについて聞いてみました。

Q. HACCPについて
どんなイメージがありますか?

HACCPについてのイメージランキング

HACCPのイメージは?
デメリットもありそう…?

「HACCPを知っている」と回答した7,570名を対象にHACCPのイメージを調査した結果、「衛生面の安全性が高まりそう」がTOPで45.1%となりましたが、コスト上昇や業務が増えそうなどのマイナス面のイメージも強いことが分かりました。
役職別では「責任者や管理監督者」は、コストや手間が特に気になる傾向がありました。

アンケート調査概要

  • ● 調査地域:全国
  • ● 調査対象:男女 18〜69歳の有識者
    (アルバイト含む)
  • ● サンプル数:
    スクリーニング調査21,195
  • ● 調査機関:
    2021年9月10日(金)〜9月14日(火)
  • ● その他:データごとの調査対象者は、
    PDF版詳しいデータはこちら」にてご確認下さい
ワンポイントアドバイス

食品問題のプロフェッショナルに聞く! 知っ得なっ得情報

義務化されたHACCP、
最低限すべきことを
専門家に聞きました!

HACCPを知らないは危険!
最低限すべきことは

「HACCPの認知度が責任者や管理監督者の方々で約9割」という調査結果を見ると、法律なので当然のこととはいえ、実行責任者の方々の意識が高いことがよくわかります。しかし一方で、責任者は「従業員に衛生管理を周知徹底すること」が求められているので、非責任者の6割以上が認知していないという結果は、今まで以上の努力が必要だということになります。

ただし、義務化されたことを知ってはいても、その内容を把握できているかどうかというと、自信を持てない人が多いでしょう。厚生労働省は、業界団体が作成した手引書の内容を実施していれば「遵守していると見なす」としていますが、ホームページに掲載されている「食品等事業者団体が作成した業種別手引書」から「小規模な一般飲食店:概要版」を見ても、記載されていることが非常に多く、内容を十分に理解できない人も多いと思います。そこで、最低限しておくべきことをお伝えします。

営業者がすべきことは「『一般的な衛生管理』及び『HACCPに沿った衛生管理』に関する基準に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に徹底すること」です。一般的な衛生管理は、今までの食品衛生法で定められていたことですから従来通りです。HACCPに沿った衛生管理は、新しく義務付けられたことなので、保健所等に相談してよく理解すべきですが、少なくとも業種別手引書を読んで大まかなことは把握しておきましょう。

HACCPで一番大事なことは「記録し保存すること」です。作成しなければならないとされている衛生管理計画というのは「チェック表」です。例えば、朝、仕入れ原材料が届けられた時、傷んでいないか破損していないかといったことを確認しますね。今までは、すべて頭の中で整理されていたかもしれませんが、そのすべてのチェック項目を書き出したものが衛生管理計画です。そして、その計画に基づいて、チェックしたかどうかを記録し、その記録表を保管しておくことがHACCPなのです。

日本食品衛生協会が作成した概要版を参考にして、自分の店で必要なチェック項目だけを抜き出して管理表を作ってみましょう。そして毎日チェックして問題なかったかどうかを記録するのです。HACCPは、とても手間がかかって面倒なものですが「食品衛生日記を毎日つけるんだ」と思ってください。お客様と従業員そして自分自身と家族の安全を守るために、毎日、HACCPという日記をつける習慣を身につけましょう。

アドバイザープロフィール

ビジネスマナー講師 谷澤 優花

消費者問題研究所代表
垣田 達哉

慶應議塾大学卒業。現在、消費者問題研究所代表。
食品問題のプロフェッショナル。
放射能汚染、中国食品、O157、BSE、鳥インフルエンザ、食品偽装問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍している。

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