ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.21 食の衛生管理に関しての意識調査を実施しました。

アカデミーリサーチ

vol.21

食の衛生管理に関しての
意識調査を実施しました。

食品を安全に提供するためのHACCP(ハサップ)という管理手法が2021年6月から完全義務化されました。
新型コロナウイルスという予期せぬ影響もある中、HACCPの導入状況や課題を調査しました。

HACCP義務化後の認知度とイメージ 食の衛生管理に関する調査
まずは、HACCPを導入しているか聞いてみました。

Q. HACCPを導入していますか?

HACCPの導入状況|HACCPの導入状況(店舗規模別)

HACCPの導入割合、全体で6割。
小規模店舗では4割弱

HACCPの導入割合は全体の61.2%となりました。店舗規模別では11人以上の店舗の約8割がHACCPを導入しています。店舗規模が大きいと導入割合も高くなる傾向がありました。1〜5人の店舗規模では「導入している」が35.9%となり導入が進んでいないことが分かりました。

次に、HACCPを導入してからの変化を聞いてみました。

Q. HACCP導入後の変化は
何かありましたか?

実際に導入すると
メリットを感じやすい?

HACCPを導入していると回答した319人を対象にHACCP導入後に感じる変化を調査しました。全体的に「衛生面での安全性向上」「従業員の知識レベル向上」「食品廃棄やクレームの減少」などメリットを感じている様子がうかがえます。「責任者」と「非責任者」の意識の差が大きい項目としては、商品価格上昇やリスク・廃棄減など、コストや収益に関する部分となりました。

HACCPを導入する際の課題について聞いてみました。

導入課題は
「業務や手間が増える」
「教育」

HACCPが完全義務化されたとはいえ、必ずしも全ての施設や店舗で導入されているわけではありませんでした。
HACCPの導入課題を調査したところ、「チェック項目追加などにより業務が増える」34.5%、「書類作成の手間がかかる」28.6%、「教育に時間がかかる」26.9%がTOP3となりました。店舗規模別では、従業員数が6~20名の店舗規模では「人手不足」、21~50名の規模では「教育に時間やコストがかかる」ことが課題となっていました。

アンケート調査概要

  • ● 調査地域:全国
  • ● 調査対象:スクリーニング調査 全国・男女18~69歳・有職者(アルバイト含む)
    本調査 上記調査のうち、調理責任者・調理担当者 (アルバイト含む)
  • ● サンプル数:
    スクリーニング調査21,195、本調査521
  • ● 調査機関:
    2021年9月10日(金)~9月14日(火)
ワンポイントアドバイス

食品問題のプロフェッショナルに聞く! 知っ得なっ得情報

メリットも大きい!
HACCP導入の
考え方について
専門家に聞きました

「手間暇」は「習慣化」で克服、
導入コストは
本来かからない

調査結果では、デメリットとして「業務が煩雑になった」という声が多く、導入課題でも管理・業務に関することが上位を占めます。
手間暇がかかるのは事実です。それを克服するには「習慣付け」しかありません。作業としてのルーティーン化です。ただし後向きな姿勢ではなく「これをすることで安全な食を提供できるんだ」という前向きな姿勢で取り組んだほうが気分的には楽になります。「お客様や従業員全員の安全を確保するのに絶対必要な作業なんだ」と思うと積極的に取り組めると思います。

もう一つ、調査結果では「衛生管理に関するコストが上昇した」「商品やサービス提供価格が上昇した」「設備の整備など導入コストがかかる」という声も多かったですが、飲食店に義務化されたHACCPは、設備投資等を義務付けるものではありません。

導入コストがかかるということは「本来の食中毒対策が十分でなかった」からです。HACCPでは「チェックと記録保存」を義務付けているだけです。必要以上の投資をする必要はありません。もちろん、新たにHACCP用のパソコン等のシステムを導入する必要もありません。

一方で「衛生面での安全性が向上した」「従業員の知識レベルが向上した」「食品の廃棄が減った」「クレームや事故数が減少した」など、メリットを実感しているという声も多くありました。導入することで、何か新しい発見もあるかもしれません。まず、とにかく一部分でもいいから導入してみましょう。「導入して良かった」と思うことがきっとあります。

すでに導入されている店舗の方々は、根気よく続けてください。きっと「継続は力なり」と実感される日が来ます。

アドバイザープロフィール

ビジネスマナー講師 谷澤 優花

消費者問題研究所代表
垣田 達哉

慶應議塾大学卒業。現在、消費者問題研究所代表。
食品問題のプロフェッショナル。
放射能汚染、中国食品、O157、BSE、鳥インフルエンザ、食品偽装問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍している。

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