ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.23 小学生のおそうじに関する調査「おそうじのイメージ篇」

アカデミーリサーチ

vol.23

小学生のおそうじについて
調査を実施しました。

おそうじは教育の一環?それとも時短?
多忙な現代、イマドキの小学生のおそうじについて調査しました。

食の衛生管理に関する調査“HACCP教育篇” 食の衛生管理に関する調査
まずは、お片付け(整理整頓)は得意か聞いてみました。

Q. お片付け(整理整頓)は
得意ですか?

片付け意識 家事手伝いの頻度と片付け得意・苦手意識

家事を手伝う小学生は
お片付けが得意!

お片付けが得意と回答した小学生の割合は25.3%、苦手と回答した割合は41.8%となりました。家事を手伝う頻度別に見ると、お片付けが得意と回答した小学生は家事を手伝う頻度が高く、95.0%(※)が週に1回以上手伝っており、約3割が毎日家事を手伝うと回答しました。一方、お片付けが苦手と回答した小学生は3割以上が月に1回未満または家事を手伝うことはないという結果になりました。家事を手伝う頻度が高い小学生は「お片付けが得意」であると自認している割合が高いことが分かりました。
※「ほぼ毎日28.7%」+「週4~5日25.7%」+「週2~3日28.7%」+「週1日11.9%」=95.0%

次に、おそうじのイメージについて聞いてみました。

Q. おそうじは、どんなイメージ?

おそうじという言葉から思い出す気持ち おそうじと聞いて思い出す色 おそうじと聞いて思い出す香り

小学生がおそうじと聞いて
思い出す香りは?

小学生がおそうじにどのようなイメージを持つか調査しました。
メンタル面ではどんよりが6割、つまらないが5割となりました。
おそうじでイメージする色は「あお系」がもっとも多く、次いで「ちゃ系」となりました。
おそうじで想像する香りでは、こぼした牛乳を雑巾で拭く香りなどを連想する人も多いと思いきや、ほこりっぽい乾いたニオイと洗剤や石けんの香りを連想する人が拮抗する結果となりました。
おそうじのイメージは、汚れのイメージとおそうじ後のすっきりしたイメージの両方が混在しているようです。

好きなおそうじや、頑張れるおそうじについて聞いてみました。

Q. 好きなおそうじ・
頑張れるおそうじは?

好き・頑張れるおそうじ

お片付けが得意な小学生は
“ご褒美がもらえるおそうじ”
よりも好きな掃除がある!

全体では、「ご褒美がもらえるおそうじ」47.3%がTOPとなりました。お片付けが苦手と回答した人では6割弱が「ご褒美がもらえるおそうじ」が好き・頑張れると回答しています。
一方、お片付けが得意と回答した人は全体傾向とは異なる結果となり、「親とするおそうじ」がTOPとなり42.6%、次いで「好きな場所のおそうじ」が39.6%となりました。3番目に「ご褒美がもらえるおそうじ」が31.7%となりますが、全体より15.6ポイントも低い結果となりました。また、お片付けが得意と答えた人は、「1人でするおそうじ」も全体より17.2ポイント高い28.6%となり、独自のやりがいを見出し自発的におそうじを行う様子が窺えました。

アンケート調査概要

  • 調査地域:全国
  • 調査対象:男女20~40歳(小学生のお子様と同居している方)
  • 調査期間:2022年2月4日(金)~2022年2月8日(火)
  • 有効解答数:400サンプル
  • ※小学1~6年生の子どもと同居している保護者を対象に、小学生のおそうじに関する調査を実施 ※調査データは全て「小学生」に関する回答
ワンポイントアドバイス

児童心理学のエキスパートに
お話を伺いました!
知っ得なっ得情報

誰にでも得意になれる
才能がある!?
お片付けが好きになる
魔法の言葉とは?

今回の調査では、お片付けが得意と回答した人と苦手と回答した人では、自宅でのお手伝い頻度や種類、おそうじへのイメージなど様々な違いがあることが分かりました。お片付けの得意・不得意という意識はなぜ生じるのか、児童心理学のエキスパートにお話を伺いました!

得意・不得意のイメージは
どうやってできる?

みなさんは子どもの頃に自分から進んでおそうじしていましたか?日本ではおそうじを教育の一環と捉える風潮があるので、自分からやろうとするより前に親や先生から言われておそうじを“しなければならなかった”経験をもっている人も多いのではないでしょうか。

しかし、何かを強制されると抵抗したくなるのが人の常。それに関して興味深い研究があります。スイスの大学が行った調査で、ある物事に初めて触れるのが授業の中だと、苦手や嫌いと感じる確率が高くなるという結果が示されました。例えば、親の真似をして小さい頃からパソコンで遊んでいた子に比べて、学校のプログラミングの授業で初めてパソコンに触る子は抵抗を示しやすくなるというのです。

ここからは2つのポイントが読み取れます。1つは、おそうじも練習なしに、いきなり“やらなければならない”と強制されると、子どもは反発したり、上手くできなくて苦手意識を持ったりしやすいということ。もう1つは、親が上記のことを理解して、おそうじの練習に一緒に取り組んで肯定的な言葉をかけていくことで、最初の段階でつまずくリスクが減らせるということです。

子どもが自分の得意・不得意を自覚するプロセスには、他者が大きく影響します。同世代の子と自分を比べたり、大人から評価されたりする中で、自分はこうなのだと認識を深めていくのです。では、どのように子どものチャレンジに寄り添っていけばよいのでしょう?

親子でおそうじに
取り組むメリット

子どもへの関わり方で大切なのが、「認める声かけ」です。「○○してくれたんだね、ありがとう」「△△が自分でやってくれたから、お母さんすごく助かったよ」「一人で頑張ろうとしたんだね」など、結果が上手くいったかどうかに関わらず、その子が何をしたか(しようとしたか)をくみ取ってあげることで、子どもたちは親から認められたと感じます。
家事を手伝う小学生はお片付けが得意だと感じているという調査結果がありましたが、お手伝いの後には必ず親とのコミュニケーションがありますよね。その際、親から肯定的な言葉をもらうことで、自分はお片付けができている(親の役に立てている)と自認し、さらにモチベーションが高まります。また、お片付けが得意と答えた子は「親とするおそうじ」が好きという回答率が高くなっていますが、これは親と一緒におそうじをする機会が多い子が、おそうじを得意と自認しているとも捉えられるでしょう。

このような自分への自信や、親の役に立ちたいという内的なモチベーションは、ご褒美という外的なモチベーションよりもずっと強く、持続しやすいものです。子どもたちのやる気スイッチを押す「認める声かけ」をぜひ試してみてください!

お片付けが楽しくなる
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アドバイザープロフィール

益社団法人 日本環境教育フォーラム ジャパンGEMSセンター 鴨川 光

公益社団法人
日本環境教育フォーラム
ジャパンGEMSセンター
鴨川 光

茨城県出身。早稲田大学大学院で子どもの思考力やファシリテーションについて研究し、2013年より現職。
子どもを対象とした科学と数学の探究学習プログラムGEMS(ジェムズ)をベースとした研修を各地で行っているほか、企業のCSRや社内研修に携わる。幼児~シニアまでさまざまな世代ワークショップをしながら成長中。

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