ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.26 家庭のおそうじに関する意識調査「おそうじのストレス篇」

アカデミーリサーチ

vol.26

家庭のおそうじに関する
意識調査を実施しました。

家庭のおそうじについて様々な視点で調査した結果、
時短、省力化に加え環境配慮など、意識の多様化も見えてきました。

家庭のおそうじに関する意識調査❝おそうじのストレス篇❞ 家庭のおそうじに関する調査
まずは、家庭のおそうじ状況を聞いてみました。

Q. 家庭におけるおそうじ状況

家庭の掃除場所 掃除頻度

家庭の掃除は女性の方が
掃除場所・掃除頻度が高い

家庭におけるおそうじ状況として、主な場所6カ所(「キッチン・台所」「バス・お風呂場」「トイレ」「リビング」「玄関」「寝室」)を自分自身が掃除している割合とその掃除頻度を調査。掃除場所は6カ所のいずれも男性よりも女性の方が自分自身が掃除すると回答した割合が高くなりました。
掃除頻度についても6か所すべてにおいて「毎日」掃除すると回答した割合は女性の方が多いという結果になりました。

次に、おそうじで感じるストレスについて聞きました。

Q. おそうじが原因でストレスを
感じることはありますか?

おそうじで感じるストレス(全体)

全体の3割強が、毎回おそうじにストレスを感じており、3回に1回以上ストレスを感じる人25.1%と合わせると約6割となり、多くの人がおそうじにストレスを感じていることが分かります。

おそうじで感じるストレス(性別)

男女別ではストレスの感じ方にも大きな違いがありました。女性は毎回ストレスを感じていると回答した割合が約4割でTOPとなりましたが、男性では32.5%がストレスを感じないと回答しTOPとなりました。おそうじのストレスは掃除個所数や掃除頻度も影響していそうです。

おそうじのストレス、どんなことが原因ですか? ストレスの原因とストレスレベル ストレスレベル別の平均選択数

「落ちにくい汚れ」
「自分だけが掃除を
しなければならない」は
ストレスを増幅?

おそうじにおけるストレスの原因として1番多かったのは「落ちにくい汚れ」となりました。カビや油汚れ、シミなどの落ちにくい汚れは時間も手間もかかることから、「時間がなくて掃除ができない」26.0%、完全に落とし切れずに「理想の状態にならない」23.0%、というストレスにもつながりそうです。
また、“低ストレス層”がストレスの原因として選択した項目が2つ程度だったのに対し、“超ストレス層”では3.7個となり、ストレスの原因と感じている項目が多いことが分かりました。
“超ストレス層”は、「自分だけが掃除をしなければならない」ことにもストレスを感じる割合が多いことから、掃除頻度が高くなり、疲れややり残しなどにつながるなど、それぞれの項目が連動してストレスとなっていることがうかがえます。

年代別 「掃除の仕方がわからない」ことがストレスと回答した割合

20代では、「掃除の仕方が分からない」ことがストレスと回答した割合が23.8%となり突出していました。20代は「一人暮らし」の割合が36.3%と高く(全体平均25.5%)、一人暮らしの期間も短いことが推測できるため、これらの状況も影響していると思われます。

アンケート調査概要

  • 調査地域:全国
  • 調査対象:男女 20~60歳
  • 調査期間:2022年7月25日(月)~7月27日(水)
  • 有効回答数:400サンプル
ワンポイントアドバイス

暮らしを楽しむ素敵なヒントを
家事ジャーナリストの
山田亮さんに伺いました!
知っ得なっ得情報

これ以上やらない!
という線を設定する

生きている限り、髪の毛や皮膚のカスは落ちていきます。服を着ると糸くずやホコリが出ます。料理をするとキッチンが汚れます。つまり、生きている限り汚し続けるのです。

突き詰めると永遠に終わらないのが掃除です。掃除をするためだけに生まれてきたのではないでしょう。そうなると、どこかで「これ以上はやらない」という線引きをする必要がでてきます。その線は人それぞれでしょう。例えば、「○時まで」と時間を決めたり、「火曜日はここ」と場所を決めるのもありです。

僕はもともと、家事は楽しい暮らしのための手段と割り切っています。掃除も楽しく暮らせる範囲内かどうかで判断しています。自分たちが快適だと思える感覚を大切にしてください。

中にはどうしても落ちない汚れもありますが、それはそこで暮らした証です。いつまでもキレイを維持したいアンチエイジングの気持ちはわかりますが、そこで生活している以上汚れるのは仕方ありません。顔のシワもシミも防ぐには限界があります。どうせ限界があるなら、たくさん笑って幸せそうな笑顔のシワが刻まれるように、ステキな年のとり方をしたいものです。家も同じです。楽しい暮らしの結果、キレイにできない汚れがあるとしても、それはそこで暮らし生きた証です。それが楽しく暮した記憶の産物であるなら、それはそれでステキなエイジングだと思います。

メディアの仕上がりマジック

「こんな掃除じゃダメだ!」と思わせてしまうのは、僕たち家事情報を発信する側にも責任があると感じています。テレビや雑誌で取り上げる映像や写真は、本当にキレイに仕上がった様子が映し出されています。実際の撮影現場では、掃除後の撮影のために、いろんな仕掛けがあります。 もちろんかなりのレベルまでは、本当に紹介する掃除技や道具を使って掃除をしますが、最後に照明を当てると、いっそうキレイに映るのです。そういう映像や写真のマジックが含まれている部分を差し引いて見てもらうと、より現実的な情報として利用できると思います。

実演に勝るものなし

若い世代で「掃除の仕方がわからない」ことがストレスの原因になっているというデータがありました。よその家の掃除を見る機会はなかなかありませんし、自分の家に合わせた掃除の仕方を知る機会もないのが現実です。

僕のような昭和世代の地方出身者は、学校に掃除時間がありましたし、家庭で母親がしている掃除を見たり、手伝ったりして学びました。

とはいえ、今の我が家の掃除は、自分たちで試行錯誤しながら編み出した部分がほとんどです。友達と情報交換したり、ホームセンターで聞いたり、テレビや雑誌を見て知ったり、本やネットで調べたりしました。その中で情報量が多かったのは、ハウスクリーニング業者に我が家を掃除してもらったことでした。実際の汚れを見てもらって、「どういうタイプの洗剤を使えば良いですか?」とスタッフに質問できたのも良かったです。換気扇や排水管のパーツの外し方などは、写真に撮らせてもらえました。洗剤や道具などはプロ仕様の物もありますが、例えば「上から下へ」や、まずは物理的に汚れを取ってから洗剤などの化学的掃除にはいるという、掃除の原則は同じだということが確認できたのも参考になりました。

家事ストレスの正体

家事は果てしなく続くものですから、それ自体がストレスになるのは仕方ありません。ですが、そのストレスを理解してもらえていないことも大きなストレス要因になります。とくに身近な人の掃除への無関心は、それをする人への無関心にも繋がり、やがては孤立感や虚しさへ行き着くことがあります。

掃除に参加する、参加してもらうことで、お互いの貢献を理解し合い「ありがとう」と言いあえる関係づくりも、ストレス軽減には必要です。

アドバイザープロフィール

益社団法人 日本環境教育フォーラム ジャパンGEMSセンター 鴨川 光

家事ジャーナリスト、
スーパー主夫、
社会福祉士
山田 亮

ロジカルな視点で「楽に家事をする」方法 を日々実践し、「楽家事ゼミ」を主宰して情報提供や家事指導を行う。また、大学や専門学校での研究教育経験(社会福祉学、家族社会学)や社会福祉士の視点から、家族や家事の在り方を考える「家事ジャーナリスト」としても活動。全国の自治体や企業などで男女共同参画、ワークライフバランス、子育て支援、人権啓発についての講演を行っている。女性誌や育児雑誌での執筆、テレビ出演も多数。

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