vol.9
「飲食店」のこと、みなさんに
いろいろ聞いてみました。
ランチやディナーなど、毎日の生活の中で訪れる機会の多い飲食店。
今回は、全国の20代から60代の男女を対象に、飲食店の利用についての実態調査を行いました。
お店選びのポイントや利用するときに気になる点など、さまざまな調査結果による情報をお届けします。
従業員のちょっとした対応で、不快な気分になったり、さり気ない気配りで心地よさを感じたり…。
接客マナーは、お店の印象にも、大きな影響を与えることがあります。
今回は、飲食店を訪れた際に、
従業員の対応でお客様が気になったこと、喜ばれたことを調査してみました。
Q. 飲食店の従業員の対応で
気になるところは?
接客マナーの基本
「態度や言葉遣い」がトップに!
従業員の「態度や言葉遣い」は、半数以上の方が気になる点としてあげており、特に女性は幅広い年齢層が、従業員の対応について、様々な点が気になっている様子がうかがえます。一方、週に3日以上飲食店を利用する利用頻度が高い方々は、「態度や言葉遣い」より「気配りがない・気が利かない」という対応が気になる傾向が強くなりました。マニュアル通りの態度や言葉遣いから一歩踏み込み、より一層お客様に配慮した対応をすることで、何度も足を運んでもらえるお店に近付くのではないでしょうか。
●態度や言葉遣い
必要以上に愛想よくとは言わないが、適度な笑顔は欲しい。(女性40代)
友人と話すような言葉遣いと馴れ馴れしい態度でイヤな気分になった。(女性50代)
●オーダー間違い・忘れ
オーダーをきちんと聞いていないうえ、間違えられた。(女性40代)
なかなか注文を取りに来ない。こちらの注文を復唱しない。(女性60代)
●髪型・服装などの清潔感/その他
従業員の制服の汚れが気になったお店では、
渡されたメニューもベタベタしていた。(女性60代)
店員さん同士のおしゃべりや言葉遣いが気になる。(女性50代)
Q. 従業員の対応と
次回来店への影響は?
不快な対応は、9割以上が
次回来店に影響していると回答!
従業員の対応で気になる点があった場合、ほとんどの方が、「次回の来店に影響がある」との回答で、中でも「態度や言葉遣い」に関しては、94.5%という高い数字となりました。そのほかの項目でも「影響する」と答えた方は9割前後となり、従業員の対応やミス、気配りのなさ、清潔感のなさなどが、次回の来店意向に大きな影響を及ぼしているようです。
また、「会計などお金に関するミス」は、5割以上の方が「非常に影響する」とのことで、食事を終えてからの対応ひとつでも、お店に悪い印象を残してしまうことが窺えます。
笑顔や挨拶、ちょっとした
気遣いが喜ばれている!
「店側から受けたサービスや気遣いで嬉しかったこと」に関する質問では、自分を覚えていてくれたり、ちょっとしたサービスによる“特別感”や、マニュアル通りではない対応など、従業員の気遣いや優しさに触れると、「嬉しく感じる」との声が多くありました。アンケート結果の中から、エピソードをご紹介します。
●自分のことを覚えていてくれる
一回だけしか行ったことがないお店で、以前に来たことを覚えていてくれた。(男性20代)
顔を覚えていてくれて、
店員さんに「いつもありがとうございます」と言われた。(女性40代)
●気持ちの良い挨拶・笑顔での対応
「ごちそうさま」と言うと、スタッフの笑顔が返ってくる。(男性50代)
いつも笑顔で気持ちの良い挨拶をしてくれる人がいる。(男性60代)
●サービスやおまけをしてくれる
誕生日だと伝えたら、ビールを1杯無料にしてくれた。(男性30代)
テーブルの塩がなくなったのを伝えたら、サービスでデザートがついてきた。(女性20代)
●マニュアル通りではない柔軟な対応
苦手な食材があったとき、他の食材への変更を快く引き受けてくれる。(女性40代)
スプーンで食べづらい料理だったので悪戦苦闘していたら、
サッとフォークと箸を持ってきてくれた。(女性30代)
アンケート調査概要
- ● 調査地域:全国
- ● 調査対象:男女 20〜60代
- ● 調査期間:
2019年9月7日(土)〜12日(木) - ● 有効回答数:400サンプル
「従業員の対応」について
専門家から学ぶ!
従業員が接客マナーを身につけるためには、どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。
前回に引き続き、人材育成や組織づくりに関するコンサルタントを行うプロフェッショナルから、
取り組むべき接客教育の方向性を伺いました。
“体験”こそが、
スキルアップ向上の
近道に!
Q. ホスピタリティ言動は、
どう教育していくのですか?
想像力と共感力を養い、
接客を「疑似体験」する!
これは、前回お伝えした作業スキルを向上させるための反復練習を少し緩めて考える時間を作ることがポイントになります。つまり、「何をどう考えさせるのか」。そのためには、自分思考や店側思考で考えるのではなく、顧客側の思考になって考えてもらうことが大切です。そうすることで、ホスピタリティマインドを高め、マインドを言動に繋げていく。そして、顧客の思考になるために効果的なのが、ロールプレイングという教育手法です。
Q. ロールプレイングの具体的な
方法や注意点を教えてください。
お客様の心理がわかることで、
取るべき行動もわかる!
ロールプレイングとは、仮定した場面を疑似体験する学習方法で、スタッフの立場を体験するだけでなく、お客様役をやることにより、お客様の立場も疑似体験させることができます。おわかりの通り、お客様の立場を疑似体験したとしても、スタッフとしての作業スキルは全く向上しないのです。しかし、接待をしたことも受けたこともない若いスタッフでも、接待の場面は疑似体験出来る。つまりは、自店舗にお客様として入店して、飲食を疑似体験することが出来るのです。
疑似であったとしても体験(インプット)することで、想像力と共感力が向上していきます。なるべく詳細に設定をした顧客の立場になりきり、疑似体験することで顧客の思考に近づけていきます。
そしてまた、ここが重要なのですが、店や会社が掲げた行動指針のようなこだわり項目を顧客の立場で疑似体験したときに、その人が“心地よい”と実感できると、スタッフ自身が行動指針に対し本当の意味で共感が生まれ、自発的な行動に繋げることが出来るようになります。
トレーニングにおいて、顧客の立場のロールプレイングをやる時間や、褒めたり感謝したりする時間を作るということによって、作業スキルの向上は一旦お休みとなりますが、非常に重要な時間となります。
アドバイザープロフィール
飲食店にて店長や統括マネージャーなどを歴任後、2002年株式会社アンドワークス創立に参加し、コンサルティングを展開。SV、店長教育、組織作りだけでなく、現場でのOJT指導を得意とすることから実践に落とし込む育成で定評がある。現在は人材育成や組織作り、接遇指導、開業のサポートや講演などで幅広く活躍している。
対応のひとつで、
お客様を不快にしたり、
また喜んでもらえることにつながる
接客マナー。
どんなシチュエーションでも、
お客様の立場になって、
適切な接客が行えるよう、
専門家のアドバイスを参考に、
スタッフの接客教育を
実践してみてください!