ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.15 日常の感染不安と買い物の在り方を調査しました。

アカデミーリサーチ

vol.15

日常の感染不安と
買い物の在り方を調査しました。

スーパーマーケット利用者を対象に、新型コロナウイルス流行前後でどのような変化があったのかを調査しました。
今回は、日常の行動や買い物の変化を紹介します。

日常の買い物、こんなことが変化しています! スーパーマーケット利用者調査
まずは、日常生活で、感染不安を感じる場所はどこか聞いてみました。

Q. 日常生活で、感染不安を
感じる場所はどこですか?

日常生活における感染不安ランキング

約8割が
「公共交通機関の利用」に
日常生活の感染不安を
感じている

新型コロナウイルス流行後、日常の行動で感染への不安をどの程度感じるかを調査しました。1位は「公共交通機関の利用」となりました。日常生活を支える「移動手段」として様々な人が利用し、不安があっても通勤や生活のために利用を控えるのは難しいこともあり多くの人が不安を感じているようです。旅行は7割の人が不安と回答しました。道中や旅先での人との出会いも楽しみの一つといえるくらい、人との接点が多いことが、今は「不安」につながっているのかもしれません。スーパーマーケットの利用が不安と回答した人は全体の半数以下となりました。コンビニ利用と宅配便の受取では不安を感じないと回答した割合の方が高くなりました。日常行動における感染不安は人との「接触時間」に左右されているようです。また、移動時間は自分でコントロールできませんが、飲食店の利用など滞在時間をある程度自分でコントロールできるかどうかも感染不安を感じるかどうかのポイントになるのかもしれません。

次に、日常的な買い物をする場所について聞いてみました。

Q. 日常的な買い物をする場所は
どこですか?

日常的な買い物場所(新型コロナ流行前後比較)

ネットスーパーの利用は微増、
百貨店利用の
減少幅大という結果に

日常的な買い物をする場所について、新型コロナウイルス流行前と流行後、それぞれどこで買い物をしているか調査しました。
流行後は全体的に買い物で利用する場所が減少する中、ネットスーパーの利用が4.6ポイント増加しました。食品専門の小型スーパーの利用は2.3ポイントと僅かに減少していますが、実店舗での買い物とネットスーパーを併用しているものと思われます。
逆に利用する機会が大きく減少したのは、百貨店(-10.9ポイント)や総合スーパー(-7.3ポイント)となりました。百貨店は50~60代女性の利用が減り、流行前には60.6%の人が利用すると回答しましたが、流行後は31.3%となっています。

日常的な買い物の在り方について聞いてみました。

Q. 日常的な買い物の
在り方を教えてください

日常的な買い物の在り方

女性の4割は買い物頻度減少、
3割は気持ちに
変化があるという結果に

日常的な買い物の在り方がどのように変化したかを調査しました。「特に変化したことはない」と回答した人は全体では45.5%となりましたが、男性が約6割、女性は3割強となり、男女差がある回答となりました。女性は、「買い物に行く頻度が減った」と回答した割合が4割となり、特に60代女性の半数以上が外出を控えているようです。次いで「買い物に行く際の気持ちが変わった」と回答した女性の割合は約3割となり、精神的にも何らかの影響を感じていることが分かりました。

スーパーマーケットの利用についての考え方を聞いてみました。

Q. スーパーマーケット利用について
教えてください

スーパーマーケット利用時は、
ネガティブな気持ちに
シフトしている結果に

日常的な買い物の在り方は利用頻度や気持ちに影響が出ていることが分かりました。
身近で利用しやすいスーパーマーケットとコンビニで具体的な利用頻度を比較しました。週に3日以上利用すると回答した人の割合は、スーパーマーケットもコンビニも新型コロナウイルス流行前は約45%程度でしたが、流行後は約10ポイントマイナスとなっていました。
日常の買い物に欠かせないスーパーマーケットの利用頻度は、流行後に週3回以上利用すると回答した人の割合は減少し、週2回以下の利用頻度と回答した人が増えていました。
スーパーマーケット利用時の気持ちの変化では、流行前は「楽しい」や「わくわく」するといったポジティブな気持ちで利用する人の割合が高く、スーパーマーケットが来店客の気持ちを充足する場所であったことが分かりました。
しかし、流行後は買い物頻度を控えるなど感染を意識した行動を優先する必要があることからポジティブな要素が減ってしまい、「疲れる」「ストレスがたまる」などのネガティブな感情を抱く人の割合が高くなってしまいました。

アンケート調査概要

  • ● 調査地域:全国
  • ● 調査対象:男女 20〜60代
  • ● 調査期間:
    2020年12月17日(木)〜12月18日(金)
  • ● 有効回答数:400 サンプル
ワンポイントアドバイス

スーパーマーケットの楽しみ方を
専門家から学ぶ!
知っ得なっ得情報

なるべくポジティブな気持ちで
買い物をするには?

今回はスーパーマーケットをこよなく愛する谷尻純子さんからアドバイスを頂きました!

Q. スーパーマーケットでの
買い物に
ネガティブな
気持ちになる人が増えています。
楽しみ方を教えて下さい。

利用者は「買い物」より
「料理」の負担軽減を!

負担軽減のポイント 01
献立に悩んだらスーパーが
提案しているレシピを活用

毎日料理を作っていると、自分のレパートリーが尽きてきて「何を作っていいかわからない」という状態になる方も多いかと思います。また、買い物前に“今日の献立”を決めている人は、実は少数。ある調査によると、お店の特売品などを見ながら買い物中に献立を決めていく方が約4割もいるそうです。そういった「レシピ決め」に活用したいのが、スーパーの店頭で提案されているレシピ。その日の特売品や、旬の生鮮食品などと併せて提案されている場合もあり、積極的に活用することでレシピを決める負担が軽減されます。

負担軽減のポイント 02
料理に疲れたらお惣菜を活用

リモートワークによって夕食だけでなく昼食を作る必要が出たり、外食ができないため毎日内食が続いたりと、料理の息抜きがしづらい状況となりました。

このお悩みに対する私のおすすめ方法は「スーパーマーケットのお惣菜を活用する」というもの。今のお惣菜はかなり進化しており「手抜き」ではなくもはや「ごちそう」です。

スーパーマーケット側も、家庭で安心して美味しく食べていただけるようにと、例えば揚げ物は1日に何回も揚げ、できたての美味しさを提供する、化学調味料を極力控えたお惣菜を作る、といったスーパーもあり、とても努力されています。お惣菜を上手に活用し、料理にかかる時間やストレスを軽減していきましょう。自分では作ったことのない料理もまずはお惣菜から取り入れれば、新しい料理にチャレンジするきっかけになるかもしれません。

負担軽減のポイント 03
買い物に行くのが億劫な場合は
ネットスーパーを活用

コロナ禍以前から、「買い物に行く」という行為には、実は料理以上にストレスを感じる方もいらっしゃると聞きます。この点については、ぜひネットスーパーを利用してみてはいかがでしょうか?

あらかじめ献立を決めて商品を頼むのが少し面倒ではありますが、冷蔵庫の定番食材を一度洗い出し、それを毎回ネットスーパーで買うようにすれば、考える時間もカットできます。定番品以外の必要食材だけササッと近くの店舗に買いに行けば、店舗での買い物時間が短縮できますよ。

また最近はネットスーパーを超えた、ネットショップ(全国配送可)を運営するスーパーも。なかにはその土地でしか手に入らないご当地品なども販売されています。「スーパーマーケットでお取り寄せ」を楽しんでみるのも、新しい美味しさに出合うチャンス。日々の食事作りに使う調味料を変えるだけでも料理の味は大きく変わるので、そうやって食卓の変化を楽しんでみるのも気分が変わっておすすめです。

Q. スーパーマーケット側で
来店客に楽しんでもらうには?

「便利で安い」から「個性」
が重視される時代に!

これからの時代は、とにかくスーパーの個性が必要です。立地や価格は買い物において確かに重要ですが、「便利で安い」を求めてばかりいると、より便利で安い競合店が現れた時にお客さんはそちらへ流れてしまうでしょう。

それを防ぐためにも、自分たちにしかない魅力をとことん磨いてほしいです。接客なのか、地場の商品ラインナップ数なのか、家族が楽しめるお店のつくりなのか、オリジナルの惣菜力なのか、ひとくちに個性と言っても個性の出し方はさまざま。大切なのは、「そこにしかない、マネしづらい魅力」があることだと思います。

ともすれば買い物は毎日こなすタスクと化し「買い物=しんどい」と思われがちです。そのしんどいを解消する何かを、どうかお店の方々には改めて考えてもらえたらと、一人の生活者として願っています。新しい味に出合えたり、レジの方との会話でちょっと気持ちが前を向いたり、そんな「買い物=楽しい」場になるよう、ぜひお店の個性を磨いてほしいです。

アドバイザープロフィール

編集者・スーパーマーケットキュレーター 谷尻 純子

編集者・
スーパーマーケット
キュレーター
谷尻 純子

本業で編集や広報の仕事をする傍ら、ライフワークではスーパーマーケットキュレーターとして活動。小売や食品の情報を集め、自身の運営するWEBサイトやSNS、各種メディアで発信するほか、スーパーのPRコンサルティングを通じ、お店の個性とファンづくりの支援も行う。スーパーに関するメディア出演、執筆、監修など多数。

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