ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.19 クリニック利用に関しての意識調査を実施しました。

アカデミーリサーチ

vol.19

クリニック利用に関しての
意識調査を実施しました。

体調の異変を感じたときに身近で頼もしい存在のクリニック。
今回は安心して利用できるクリニックの特徴について調査しました。

見た目の清潔感より衛生面への対策を重視 クリニック 利用に関する 生活者意識調査
まずは、クリニックで必要と思う配慮と印象について聞いてみました。

Q. クリニックで必要と思う
配慮と印象は?

印象と必要性の比較

これだけは欲しい
「ゆとり」・
「温度湿度管理」・「消毒剤」

「待合室のゆとり」「室温や湿度が管理されている」「手指消毒剤設置」はクリニックでの必要性と印象度ともに高い数値となりました。
「床の除菌清掃」や「ドアやトイレが非接触」であることは、必要性を感じるとまでは言えないが、あると印象が良いと感じることが分かりました。特に小学生以下の子供がいる回答者においては「ドアやトイレが非接触」「安らぎそうな音楽が流れている」「水槽がある」「子供用のアニメやおもちゃが用意されている」と、クリニックの印象が良いという結果になりました。

次に、清潔感が気になる場所について聞いてみました。

Q. クリニック利用時に
清潔感が気になる場所は?

清潔感が気になる・場所ランキング クリニックの場所別清潔感

清潔感が気になる場所
TOPはトイレ

クリニック利用時に清潔感が気になる場所は、トイレや椅子など直接体が触れる部分が上位となりました。
床は約7割、壁は約半数の人が気になると回答し、自由回答では「医師の机が乱雑である点」なども回答がありました。

こんな清潔感が
気になるエピソード

スリッパが共用で除菌されてなさそう。(全性年代)

トイレが汚くて臭かった。(全性年代)

オムツ替えのベットが除菌されていなそう。(20代)

医師の机や周りがとても乱雑で整理されていない。(50代)

清潔感が原因でクリニック利用が減った経験について、みなさんに聞いてみました。

Q. 清潔感が原因で
行かなくなった経験は?

清浄感が原因でクリニック利用が減った経験 行かなくなった経験 小学生以下の子あり回答者と全体比較

4人に1人は
利用頻度が減った経験あり

約4人に1人が清潔感が原因でクリニック利用を控えた経験があると回答しました。
小学生以下の子供がいる回答者に対象を絞って集計した場合、約35%が利用を控えた経験があると回答しました。 クリニックの安全性や信頼性は診療だけで判断されるものではなく、清潔であることも大きな指標となっているようです。

スタッフの良いと思う対応・気になる対応について聞いてみました。

Q. スタッフの良いと思う
対応・気になる対応は?

いいと思う対応ランキング 気になる対応ランキング スタッフ対応が原因でクリニック利用が減った経験

4割は利用頻度が
減った経験あり

体調が悪くて不安なときなどクリニック利用時に好印象なのは、優しい話し方・丁寧な説明・笑顔となりました。5位には清潔感もランクインしています。逆に気になるスタッフ対応については、態度や言葉遣いが悪い、気配りがない、忙しそうで質問しにくいなど、不快な気持ちや不安感につながる対応がランクインしました。

アンケート調査概要

  • ● 調査地域:全国
  • ● 調査対象:男女 20〜60代
  • ● 調査期間:
    2021年4月14日(水)〜2021年4月16日(金)
  • ● 有効回答数:400 サンプル
ワンポイントアドバイス

クリニックスタッフの
心得をプロに聞く!
知っ得なっ得情報

患者様の安心につながる
身だしなみと対応の
心得とは?

「身だしなみOK」の認識に
乖離が!?
患者が心地よい
身だしなみとは?

『「身だしなみ」を整えましょう!』と、研修や講演でお伝えすると、ほとんどの医療従事者の方々は「基本事項として、出来ている」と、あまり重要視していない反応がかえってきます。ですが…、医療従事者と患者様とでは、乖離があるようです。では、なぜ出来ていると思っている事に乖離があるのでしょうか?

それは、「身だしなみ」という言葉の意味・真義を間違って捉えているからでしょう。辞書で「身だしなみ」の意味を調べると、『容姿・服装・態度・言葉遣いなどに対する、心掛け』と定義されています。白衣やスクラブ・ケーシー型のウェアを普段通り着用するだけでは、身だしなみが整っているとはいえません。それらを着用したうえで、最初に目に入る顔回りの髪型をまとめる、汚れやしわの無い清潔さを徹底した服装、笑顔で優しい接し方、声掛けや説明が丁寧であるといったことが合わさることで、医療従事者の身だしなみが整っているといえます。

普段健康であることが当たり前の中で人は、痛い・苦しい・つらいといった状況となると、何事にも敏感です。医療従事者にとってパーソナルゾーンに入って医療行為や患者対応することは日々当たり前のことですが、体調不良で特に敏感になっているうえに、普段家族であってもなかなか立ち入らない至近距離での五感で感じる不快感は、その後の診断の信憑性や処置の手際の良し悪しにまで、直結するといっても過言ではないでしょう…。

忙しくてもできることが
「身だしなみ」!
自分自身と心を整えて

皆様は「サイレント・クレーマー」といった言葉をご存じでしょうか?実は、医療機関への苦情・クレームが表面化するのは、ほんの一部。患者様は「診て頂いている」という負い目から、クリニックへの不満を何も告げずに、来院を辞めて他のクリニックに移ります。ただ、クリニックで自分が受けた悪い印象や嫌な対応は、自分の心の中でモヤモヤが募り、誰かにこのモヤモヤした気持ちを聴いてもらいたい・共感してもらいたいといった感情から、口コミやSNSでネット上にあげられてしまうのです。今回のデータでは、クリニック運営の上で大変興味深く、意識を高めるべき改善点が明確になったといえます。清潔感が感じられないクリニックへの来院が遠のくこと、医療技術に長けていても、患者対応に不満かあるとその後のリピートをためらうことが浮き彫りになりました。

研修や講演の最後の質疑応答の際に「患者様に寄り添う気持ちや丁寧な接し方が大切と分かっていても、忙しい場合や混みあっている場合は、どう対応すればよいでしょうか?」といったご質問を頂きます。そのご質問の答えとして「身だしなみを整えることは、事前に出来る業務の一つ」と、お伝えしています。忙しい時・混みあっている時に、付け加えて意識したり・改善したりすることは、余計に医療従事者の方々の負担になります。ですが『身だしなみを整えること』は、出勤前や勤務前の時間に自分のペースで準備できるうえ、印象が良くなることで、ファースト・インプレッション(第一印象)からうかがえる医療従事者の人柄が、患者様に伝わりやすいといったメリットがあります。まずは「身だしなみ」と自分自身の「心」も整えたうえで、態度が上から目線になっていないか?言葉遣いは丁寧で分かりやすいか?といったことについても、気を配ることが出来れば、一人ひとりの医療従事者の印象が良くなるだけでなく、ますますクリニックの印象も向上することでしょう…。

アドバイザープロフィール

ビジネスマナー講師 谷澤 優花

ビジネスマナー講師
谷澤 優花

長期間入院していた患者としての経験とビジネスマナーの専門的分野から、すぐに実践できる『医療接遇』の講演・研修・執筆を行う。九州大学では、チーム医療加速プログラムにて「医療人に必要なマナー」の講演、学生への就職支援講義も行う。また、診療放射線技師を目指す学生の教科書「図解 診療放射線技術実践ガイド」の医療接遇ページの執筆を担当。『マイベストプロ香川』にて医療接遇のコラムも多数掲載し公開中。

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