ホーム > 調査 > アカデミーリサーチ vol.25 小学生のおそうじに関する調査「学校のおそうじ篇」

アカデミーリサーチ

vol.25

小学生のおそうじについて
調査を実施しました。

おそうじは教育の一環?それとも時短?
多忙な現代、イマドキの小学生のおそうじについて調査しました。

小学生のおそうじに関する調査❝学校のおそうじ篇❞ 小学生のおそうじに関する調査
まずは、学校におけるおそうじ状況を聞いてみました。

Q. 学校におけるおそうじ状況

学校でのおそうじ時間 学校でおそうじする場所 片付け得意・苦手別のおそうじ場所

9割以上!
「学校でおそうじの時間がある」

小学校でおそうじの時間があると回答したのは9割以上となりました。
おそうじ時間にはばらつきが見られましたが、20分未満が84.4%となり、5分未満も約1割となりました。
おそうじしている場所は、教室内や廊下、トイレなどが多いようです。
片付けが得意・苦手別でおそうじ場所する場所に差が出た場所を見てみると、おそうじが得意と回答した人は教室のロッカーや先生の机をおそうじしている割合が高い傾向にあり、トイレも4人に1人はおそうじしているという結果になりました。学校でも自主的におそうじしていると推測できます。

次に、おそうじ場所・おそうじ道具の好き・苦手について聞いてみました。

Q. おそうじ場所・おそうじ道具の
好き・苦手

好きなおそうじ場所ランキング 苦手なおそうじ場所ランキング 好きなおそうじ道具ランキング 苦手なおそうじ道具ランキング おそうじで嫌だ・苦手と感じること

おそうじの好き嫌いは
道具で決まる?
ぞうきんが苦手は約3割!

学校におけるおそうじ場所や道具の好き嫌いは、いずれも「あてはまる場所はない」がトップとなりました。「教室の床」は好きが20.9%、嫌いが17.5%となりました。
好まれる道具はホウキ類という傾向があり、苦手な道具は「ぞうきん」が約3割となり突出しています。おそうじで嫌だ・苦手だと感じる理由として、「手や服が汚れること」が最も高く、自身が汚れることに嫌悪感を持っていることが分かりました。小学生のおそうじの好き嫌いは場所よりも使用する道具に左右されるものと思われます。

おそうじ方法の指導について聞いてみました。

Q. おそうじ方法の指導

おそうじ方法の指導有無

誰から教えてもらう?
片付けが得意な
小学生は
「親」「友達」「兄弟・姉妹」

おそうじ方法は「親」に教えてもらう割合が最も高く71.3%、次いで「学校の先生」58.8%となりました。片付けが得意な人ほど、「親」や「友達」「兄弟・姉妹」から教えてもらう傾向があり、片付けが苦手な人は「学校の先生」から教えてもらう割合が高くなりました。
教えてもらったことはない」という割合は12.5%となり、自宅において家事を手伝う頻度が低い人ほど、教えてもらう機会が少ないことが分かりました。

アンケート調査概要

  • 調査地域:全国
  • 調査対象:男女20~40歳(小学生のお子様と同居している方)
  • 調査期間:2022年2月4日(金)~2022年2月8日(火)
  • 有効回答数:400サンプル
  • ※小学1~6年生の子どもと同居している保護者を対象に、小学生のおそうじに関する調査を実施 ※調査データは全て「小学生」に関する回答
ワンポイントアドバイス

児童心理学のエキスパートに
お話を伺いました!
知っ得なっ得情報

これからの
おそうじの考え方

現在の小学生のほとんどが学校でおそうじの時間がありますが、おそうじの所用時間は20分未満と短く、使用しているおそうじ道具はぞうきんなどの昔からの道具を苦手意識を持ちながら使い続けている小学生が多いことが分かりました。
おそうじには躾や教育という側面がありますが、これからの小学校における「おそうじの時間」について児童心理学の専門家にお話を伺いました!

学校でおそうじ
するのはなぜ?

今回の調査は、学校でのおそうじについてです。近年、何のために子どもたちが学校を掃除するのかと議論になっていますが、実は明確な根拠を示した資料はほとんどありません。そもそも学校をきれいに保つことが目的であれば、専門の清掃員や業者を入れることもできますし、世界では子どもたち自身で学校を掃除する国の方が少数派です。それでも、日本で掃除の時間が残っているのはなぜでしょう?

まず、社会性やモラルを育てるという側面があります。集団生活の中でおそうじすることで、役割分担をして1つのことをやり遂げるという協調性や、自分以外の人も快適に過ごせるようにという思いやりを育む効果が期待できます。また、自分があまり使わない場所でもきれいに保つという習慣をつけることで、街や公共施設などでの公衆衛生の意識につながります。日本の街はごみがあまり落ちていないといわれるのも、義務教育の中で毎日おそうじをしていることも関係しているでしょう。

また、学校生活を円滑に行うためにも、おそうじは大切です。日本の工場などでは無駄を省き生産性を高めるために3S(整理・整頓・清掃)をルール化しているところも多くありますが、学校においても自分で整理・整頓・清掃をすることで、授業で使うものを短い休み時間の間に準備できるようになり、授業や友だちとの交流などの時間を奪わずに済みます。

この「どこに・なにがあるかわかっている」ことは、防災教育にも役立ちます。自分たちの教室以外も掃除することで、いざという時のために学校内の構造を知っておくことができます。

どうやるかだけでなく、
なぜやるかも伝える

もう1つ注目したいのは、おそうじには心を整える効果が期待できるということです。お坊さんの修行でも掃除が大切にされていますが、近年、科学的にも、一定のリズムで同じような動きをくり返すことで脳内の安心物質の分泌が促進され、気持ちが落ち着くことがわかってきました。学校の掃除用具がぞうきんやほうきなど同じ動作をくり返すようなアナログなものが多かったり、おそうじ中は静かに淡々とやるように言われるのにも意味があるのです。

このように、学校でおそうじすることには、単純にきれいにするというだけでなくさまざまな意義があります。ただし、なんとなく掃除しているだけではそれは得られません。今回の調査では、おそうじの方法については親や先生から教えてもらっているという結果でしたが、何のために掃除や片づけをするのかについても伝えていくことも大切です。そうすることで、時間が短くても子どもたちにとって意義のあるおそうじができるようになります。

アドバイザープロフィール

益社団法人 日本環境教育フォーラム ジャパンGEMSセンター 鴨川 光

公益社団法人
日本環境教育フォーラム
ジャパンGEMSセンター
鴨川 光

茨城県出身。早稲田大学大学院で子どもの思考力やファシリテーションについて研究し、2013年より現職。
子どもを対象とした科学と数学の探究学習プログラムGEMS(ジェムズ)をベースとした研修を各地で行っているほか、企業のCSRや社内研修に携わる。幼児~シニアまでさまざまな世代ワークショップをしながら成長中。

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