vol.14
冬の寒い時期、温度と湿度
どちらを大切にしていますか?
加湿器などを使用して湿度管理をしている人は少ないことが分かりました。
冬の快適について、調査結果とワンポイントアドバイスをご紹介いたします。
Q. 冬に使う暖房器具は何ですか?
日本の冬は「エアコン」と
「こたつ」で暖かく!
冬に暖房器具を使用するか調査したところ、95.7%が何らかの暖房器具を使用して室温をコントロールしていることが分かりました。全国平均ではエアコンを使用する人が1番多く58.0%、次いでこたつが28.3%となりました。北海道、東北、日本海側などの積雪がある地域では石油ファンヒーターや電気ストーブを使用する傾向が強くなりました。ところで、北海道だけは、エアコンもこたつも全国平均と比較してもかなり低い数字となりました。厳寒の北海道では、住宅に石油ストーブがすでに備え付けられているケースが多く、十分暖かく過ごせることが関係しているようです。
Q. 加湿器や空気清浄機の
使用状況は?
加湿器を「毎日使用」19.5%、
快適な湿度を
「把握していない」50.0%!
加湿器を毎日使用している人は全体の19.5%となり、快適な湿度を全く把握していないと回答した人は50%となりました。温度は何かしらの暖房器具を使用して暖かくしている人がほとんどでしたが、加湿器などを使用して湿度をコントロールしている人は少ないことが分かりました。一般的に、エアコンを使用して部屋の温度を上げると空気は乾燥し、石油ストーブなどは燃焼の過程で水(H2O)が発生するため湿度は下がりにくいと言われています。しかし、室温と違い、なかなか実感しにくいこともあるので、湿度計を使用し、快適とされている湿度40~60%をキープするとよいでしょう。
Q. 空気の乾燥で不快に
感じることは何ですか?
冬の不快感は
乾燥が原因!
冬に感じる不快感は、乾燥が原因で生じる「のどの痛み」や「肌トラブル」、外気と室内の温度差によって生じる「結露」、単純に「寒い」という結果になりました。
湿度をコントロールすることで、これらの不快感を軽減するだけではなく、同じ温度でも感じ方が変わるため、加湿器を使用することで、節電にもつながる可能性があります。
アンケート調査概要
- ● 調査地域:全国
- ● 調査対象:男女 20〜60代
- ● 調査期間:
2020年8月27日(木)〜9月3日(木) - ● 有効回答数:400 サンプル
湿度や換気のポイントを
専門家から学ぶ!
新型コロナウイルス
対策のための
湿度や換気のポイント!
感染症対策として、部屋の温度や湿度、また「換気」の方法はどうすれば良いのか、具体的なアドバイスをご紹介いたします。
Q. 新型コロナウイルス対策として、
家庭での室温や湿度、換気は、
どんなことに気をつければ
いいのでしょうか?
まずは過ごしやすい
環境にしましょう!
政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は「寒冷地における新型コロナ感染防止等のポイント」という資料の中で、「室温は18℃以上、湿度は40%以上を目安とするように」と国民に呼びかけています。
室温と湿度の目安は、寒冷地でなくても冬場でなくても、日本国内共通と考えましょう。18℃以上、40%以上といっても、どの程度にするかは、それぞれの家庭・部屋で快適に過ごせる環境にすれば構いません。
重要なのは換気で
ウイルスを分散させること!
ただし、そこで必要になるのが換気です。なぜ換気をするのかというと「空気の流れを作ることでウイルスを外に出すことと、ウイルスを分散させることで摂取量を減らし、感染リスクを低くすること」が目的です。
- 換気のポイント 01
- 窓を2カ所空けて
空気の流れをつくる
ほとんどのエアコンは、部屋の空気を循環させているだけなので、2カ所の窓を開けて空気の流れを作る必要があります。できれば反対側がいいのですが、反対側でなくても、できるだけ離れた2カ所の窓を開ければ空気の流れを作ることができます。
- 換気のポイント 02
- 窓が無い場合は、
扇風機や換気扇を使用する
窓がなければ「ドアを開ける」「換気扇を回す」といったことでも効果はあります。1カ所のドアだけしかない部屋の場合は、空いているドアに向かって扇風機の風を送ると空気の流れを作ることができます。
- 換気のポイント 03
- エアコン使用時は「冬は後から換気・夏は先に換気する」
エアコンと併用する場合「冬場は、エアコンを付けて部屋を暖かくしてから換気をする」「夏場は、換気をしてからエアコンを付けて部屋を涼しくする」と効率が良くなります。
換気の頻度は臨機応変に。
まずは家庭にウイルスを
持ち込まないこと!
換気の回数は、30分に1回数分程度と言われますが、それはウイルスを家庭内に持ち込んだことが前提です。家族の体調管理も考えて、臨機応変の対応をしましょう。
どんな環境にするにしても、最も効果的な対策は「家庭にウイルスを持ち込まないこと」です。室温、湿度、換気以上に、手洗いとうがいの徹底は、家族全員が習慣付けるようにしましょう。
寒冷地における
新型コロナ感染防止等の
ポイントより抜粋
寒い環境でも換気の実施
- 機械換気による常時換気を
- 機械換気が設置されていない場合は、室温が下がらない範囲で
適度な保湿
(湿度40%以上を目安)
- 換気しながら加湿を
(加湿器使用や洗濯物の室内干し) - こまめな拭き掃除を
※新型コロナウイルス感染症対策本部資料
(令和2年11月10日)
Q. 飲食店も家庭と同じような
環境にすればいいのでしょうか?
機械換気ができない場合は
「室温が下がらない程度に
窓開け」
飲食店は、不特定多数の人が頻繁に訪れます。できれば、常時換気するのが良いのですが、冬場に窓を開けっぱなしにするのは、寒くて顧客離れを引き起こします。感染症対策本部が言うように、機械換気ができない場合は「室温が下がらない程度の窓開け」を心がけましょう。
1番大切なことは
「従業員の身を守ること」
飲食店で一番大切なことは、顧客の安全を守ることですが、もう一つ忘れてはいけないことは「従業員の身を守る」ということです。従業員が感染すれば、顧客にうつす可能性もあります。室温、湿度、換気も大切ですが、このアカデミーのvol.10及びvol.11で述べたように、衛生面の徹底が必須条件です。感染対策は「国に言われているから」「顧客に文句を言われるから」するのではなく「自分や従業員の身を守るために必要だ」と思えば、自ずと時間をかけて丁寧にするようになります。「やらされている」のではなく「自分のためにする」と思いましょう。
アドバイザープロフィール
慶應議塾大学卒業。現在、消費者問題研究所代表。
食品問題のプロフェッショナル。
放射能汚染、中国食品、O157、BSE、鳥インフルエンザ、食品偽装問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍している。